2018 F1 バーレーンGP
最近のF1はヒトが見えない。
今年はあのデバイスのせいで余計に見えない。
確かにF1は技術の最高峰だ。オーダーメイドのフォーミュラマシンが11車種。こんな贅沢なことは無い。ただ、あくまでモータースポーツなのだから、それを操るヒトが見たい。
自動運転の流行りはF1にやってこなくて良い。
バーレーンGPはフェラーリのタクティクスが大崩壊を起こし、勝てるレースをみすみす逃しそうな展開であった。昨年から続く、フェラーリのタクティクスミス。僕がフェラーリを熱心に応援していた90年代末期は、フェラーリはタクティクスのチームだった。
ロスブラウンの描いた作戦をシューマッハが完璧に遂行する。そして、速さで若干劣るところをカバーして勝つ。そんなのがフェラーリだったのだが、どうも昨今のフェラーリはミスばかりだ。
今回、具体的にはタイア交換のタイミングを完全に読み間違えた。油断なのか。レースは他人との争いだ。ラップタイム以外にも気にしなくちゃいけない。このままズルズルと負けてしまって、ここ数年続いている景色がリプレイされるのかなぁと思ったが、ヴェッテルがやってくれた。
ズルズルのタイアで、メルセデスのボッタスの猛攻を防ぎきる。
素人目にもボッタスの方があらゆる局面で速いのに、前に行けない。
ヴェッテルが要所をきっちり抑えて、ギリギリのところで勝利を拾った。
シミュレーションではボッタスだったであろうし、例年通りならメルセデスが逆転勝利の流れだ。
ただ、ヴェッテルのドライビングセンスがそれを防いだ。
これぞスポーツだ。
モータースポーツは半分以上使用する機材の優劣が左右する。F1は最近、その割合が崩壊気味でいささか食傷気味だったが、ヴェッテルのドライビングはF1のスポーツの側面を思い出させてくれた。
感謝感謝である。
そして、人間臭かったのはトロロッソホンダの4位入賞。
悪夢の開幕戦から見事な復活劇。まだまだ先は長いし、次はどうなるかもわからない。
でも、このポイント獲得はきっとチームに力を与えるだろう。
おめでとう。
今年のF1に少し期待してもいいかなと思ったGPだった。
つるやたかゆき