ツルタカブログ

ファッション感覚でランしてる

ツルタカ書店 最近読んだおもしろい本 2018年1月〜2月

最近読んでおもろしろかった本をまとめておこう。

読んだ時の気分などにも左右されることはあるが、それも含めて記録しておくことに意味があるのではと思っている。

今年から読書アプリに記録を残しはじめた。

昔はそういったログを残す行為に抵抗があったのだが、これから何冊の本を読めるか冷静に考えた時に、今までの読書体験からこれから選ぶ本を吟味していく必要もあるのかなと思い導入してみた。

 

学生時代のように、読書体験が鮮烈に記憶に残るということは、かなり少なくなってきたが、それでも読書は違う世界への扉を開いてくれる。

 

 

GO WILD 野生の体を取り戻せ!  科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス

GO WILD 野生の体を取り戻せ! 科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス

 

 少し前に話題になった本書を読んでみた。

B2R や、EARの流れでNHK出版も出してきたのだろうが、どこか品の高さが感じられて

B2Rにあったような熱狂的な興奮を巻き起こすような内容では無かった。

もっともそれは受け取り手の問題であって、作者としてはそんな土俵で勝負する意識などは無いのであろう。

参考になったのは糖質と人体の関わり合い方について。

糖質をここまで豊富に摂取できるようになったのは人類史的にもごく最近のこと。

つまり人間の体は過剰な糖質を処理するだけの能力はもっておらず、糖質はその摂取の仕方によっては毒となって人間を傷つける。

今までも何度かそういう学説には触れてきたが、説明の仕方はこの本が一番良かった。

糖質との関わり合い方は、この本の読了後大きく変わったと思う。

トレランの効用については、いまいちピンとこなかった。

トレランはおもしろいけど、ここまで考えて走ってしまったら楽しめないじゃと。。

 

 

ブラック・ダリアの真実〈上〉 (ハヤカワ文庫NF)

ブラック・ダリアの真実〈上〉 (ハヤカワ文庫NF)

 
ブラック・ダリアの真実〈下〉 (ハヤカワ文庫NF)

ブラック・ダリアの真実〈下〉 (ハヤカワ文庫NF)

 

 未解決事件モノが好きだ。

国内、国外のもの問わず。

実際の犯罪の被害に遭われた方、またその遺族にとってはたまったものじゃないだろうが、その事件の真相に迫れるというのは読書ならではの体験だと思う。

(実際に自分で追う根性がないので・・)

ブラックダリア事件という、大昔のアメリカの殺人事件を追った本書。

とにかくおもしろい。

事実を一つ一つ積み重ねていき、証拠としていく。実は作者はこの事件の犯人(と思われる)の息子なのだ。

調べれば調べるほど、父親の罪が確定的になっていくという最大のジレンマ。

他人事だからおもしろい。何度もいうが、こういう体験ができるのが読書の良いところである。

それにしても、ゾディアック事件を描いた

 

殺人鬼ゾディアック――犯罪史上最悪の猟奇事件、その隠された真実 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ II-3)

殺人鬼ゾディアック――犯罪史上最悪の猟奇事件、その隠された真実 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ II-3)

 

 これもそうだが、犯人(と思われる)の身内が、その罪を告発するケースはアメリカではよくあることなのだろうか。

日本でも、あと30年くらいしたら『グリ森事件の犯人は俺の父親だ』みたいな、リアルな『罪の声』的な本がでないものだろうか。

 

 

レーサーの死

レーサーの死

 

 駄本中の駄本だった。

レーシングカーは速度計が無いから速度指定ができないなど、トンデモ言説にあふれており、結論ありきのこじつけだらけの本であった。

(ギア比とタコメータで速度は簡単にわかる。)

奥付に『データから本質を読み取ることが得意』と著者紹介が書かれていたが、どうやらタコメータから速度を読み取ることは不得意のようだ。

こんな人が、レーサーの死を告発気味に書いたところで余計その死の真相が遠くなってしまったように感じる。

まったく罪な本だ。遺族にとっても、無駄な時間を遣わされた僕にとっても。

 

 

タキ井上が教えます! リアルな裏F1

タキ井上が教えます! リアルな裏F1

 

 ツイッターでは逆張りツィートで度々話題になるタキ井上氏だが、この本はある意味真摯な内容である。

勉強になったこと

GP3 8700万円

F2 1億9000万円〜2億3000万円 

ヨーロッパF3 1億1000万円

カート(全日本クラス)1500万円

以上の年間予算は必要となってくる。

その上で、F2ならダムスはフランス系なので日本人が加入しても力を発揮できない、アーデンはレッドブル系なのでそれ以外の流れのドライバーがいても冷遇される、等のリアルがそこにはある。

日本のメディアがいかに取り繕っても、モータースポーツはその他スポーツと違い、実力以外の部分も非常に重要なことは間違いない。

才能より国籍が重要な場合も多々あるのだ。

だが、それがモータースポーツが産業としてやってこられている側面もあり、タキ氏はそれを否定しないし、方法があるのだからそれを知るべきとしている。

とても勉強になる本。モタスポ好きは一度読んでみたほうが良い。

 

 

 

 現代の知のトップランナー達の図書館活用術を紹介した本。

マニアックな楽しみ方、論文の集め方なども読んでいて楽しいのだが、それよりなにより、知のトップランナー達が子供の頃に図書館で夢中になった本を知ることができて、それがたまらなく面白い。

とんでもなく早熟な方もいれば、どんなときも定番の『少年探偵団』みたいな人もいて、それを知るだけでもニヤニヤがとまらない。

読書好きの方は、一度これを読んで地元の図書館の使い方などを研究するものおもしろかもしれない。

 

 

2時間で走る:フルマラソンの歴史と「サブ2」への挑戦

2時間で走る:フルマラソンの歴史と「サブ2」への挑戦

 

 ナイキのプロジェクとが話題になっているが、サブ2が可能かどうか、その理論的背景と近年台頭が著しいアフリカ勢活躍の背景、そして現代のマラソン界のビジネス的な側面を織り交ぜて、見事な一冊としている。

読めば読むほど、お正月の実業団&箱根で消耗させられる日本勢が、世界の潮流から離されている事実が浮き彫りになってきて辛い。

もはや、マラソンは多くの日本人が知っている競技とはまったく違う競技に変貌していきているのだ。

 

失踪者

失踪者

 

 珍しく小説を。

昨年末に読んだ夢枕漠の『神々の山嶺』が面白すぎたので、その余韻で山岳小説に手をだした次第。

結論、面白いです。

トリック云々より、真山と樋口の友情の物語にぐっとくる。

ザイルを繋ぐということは、そういうことなんだな、と。

優れた山岳小説は、山の恐ろしさと美しさについて読者が読むだけでしっかり追体験できるかがなのだと思うが、その点この本はかなり上手い。

いや、ほんと良かった。

 

 

レッキング・クルーのいい仕事 (P-Vine Books)

レッキング・クルーのいい仕事 (P-Vine Books)

 

 登場人物がやたらと出てくるが、全て覚えなくても全然大丈夫。

話をおっていけば、ちゃんと理解できるようになっている。

つまり、構成が抜群。翻訳も最高のレベルだ。

60年代のアメリカ音楽史の裏側を一枚一枚ベールを剥いでいく。

フィルスペクターと、ブライアンウィリアムズという機代の天才を軸に、その音楽をささえてた天才スタジオミュージシャン達のプライドをかけた音楽制作の現場の魅力がたっぷり詰まっている一冊だ。

そして、その黄金時代がゆっくりと終焉にむかっていくシーンまで。。

フィルスペクターの『今』を描かなかったのは作者の良心か、この時代に敬意を表したものなのか。

とにかく素晴らしい一冊。

 

 

恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白 (講談社文庫)

恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白 (講談社文庫)

 

 

丁寧に時系列毎に書いており理解が進む。

ただ、当事者なのに丁寧すぎて感情が伝わってこない。(代筆なのかな??)

稲葉氏が警察に入るところ、いや正確には入る前から洗脳が進んでいる点が非常に怖い。これが組織の理屈なのか。

日本最大の暴力機構ともなりえる、警察という組織がいかに腐っているかがしっかり描かれている。

まったく中の人たち、よく腐らずやっているわ。

多分、このままだと第二第三の稲葉氏が登場するよね。。

 

 

私は真犯人を知っている―未解決事件30 (文春文庫)

私は真犯人を知っている―未解決事件30 (文春文庫)

 

 微妙でした。

企画のために無理やり原稿をあつめた感がする。

孤軍奮闘しているのは、清水さんの足利事件の原稿くらいかな。

こういう本で、インスタントに知識をつけようというのが間違っていたな。

本が悪いわけでは無い。自分の性根が良くなかった。 

 

3650 死刑囚小田島鐡男

3650 死刑囚小田島鐡男"モンスター"と呼ばれた殺人者との10年間

 

 著者と死刑囚の奇妙な交流が主題だが、死刑囚の身勝手な犯行は衝撃。

ロクに計画もせずに、いきあたりばったりで殺人を重ねていく。

本書では、死刑囚の幼年時代から掘り下げているが、なるほどガキの頃からいきあたりばったりに罪を重ねて、少年院や刑務所に何度も入っている。

矯正もされず、犯罪者として拡大再生産されるだけの人生。

これは本人より周囲(直接関わり合いの無い市井の人間までを含む)が不幸だ。

こんな人間のために、安く無い税金が使われているのだから。

結局、この死刑囚は死刑ではなく病気でこの世を去る。

なんとなく勝ち逃げされた感がある。

こういう本質的に『悪』な人間を、社会が受け入れるコストをしっかり考えなくてはならない。個人的にこんなものを受け入れるのは真っ平ごめんだ。

 

 

以上、最近読んだ本。

今年はまだまだ読んでいこう。

 

つるやたかゆき