オシャレランニングファクトリー 当別ふくろうダム60km
2月にサロマのウルトラマラソンのエントリーに失敗して以来、(ちなみに、SNSを眺めているとエントリー失敗したのは自分だけのようだ。。ガッデム)近郊の湖を全てランで攻めると決意した。
一つ一つの湖ではサロマ湖には敵わないけれど、近郊の湖を全て合わせれば勝てるだろうという、いま改めて書いていても意味不明なプロジェクトである。
ウトナイ湖60km
札幌湖、オルタナイ湖60km
支笏湖60km
恵庭湖に関しては昨年走破済み。残るは当別ふくろう湖のみとなった。
実は春先に一度挑戦していたのだが、あまりの暑さで当別駅でリタイア。
着替えもせずにJRに飛び乗り帰宅。
くさい臭いを車内にバラまき這々の態で逃げ帰ったのである。
グズグズしていると雪が降ってくる季節。さすがに雪の中出かける気力もない。
だとしたら計画は来年まで持ち越しとなってしまう。
やるなら今しかない。
ルートは豊平川を下り国道337号線で石狩川を渡り、当別に侵入。
そこから275号線に合流し、当別市街地までいく。
その後、道々28号線で当別ふくろう湖まで行く。そこから当別市内に戻ってくるのも芸がないので更に進み当別ふくろう湖に架かる橋をこえて、対岸にでて道々11号線から月形町に至る。
月形町には温泉もあるので、そこをゴールとするプランだ。
豊平川河川敷はあっさりとクリア。
いつも雁来大橋から下流のエリアを走る時は、あまりの単調さにゲンナリするのだが今回は思いの外あっさりとクリアできた。
札幌大橋から見る、石狩川は好きだ。
275号線の橋から見る石狩川は、厳つくて人を寄せ付けない感じがするのだが、札幌大橋からは呑気で雄大な景色を見せてくれる。
橋を越えると、一気に空気が変わる。違う町に来た感じがする。うまく言えないけど。
ひとつひとつのスケールが大きい感じがして、自分の無力さに打ちのめされる感じがするのだ。
今回はいつもとちょっとルートを変えて、337号線のいわゆる当別バイパスを通る。
太美経由より、一層単調なルートなのだが、これを越えられないと当別市街地以降のルートも耐えられないだろうと判断して、より一層厳しい環境を走ってみたのだ。
結果的に、これは大当りの選択だった。
単調は単調だが、景色が田舎特有の雄大なもので、なかなか飽きない。道もまっすぐで整備されているのでボーッと10月から新しくはじまる生活のことなどを考えていたら、あっという間に当別市街地に到達した。
今回はドリンクにヴァームウォーターを選択した。
近所のドラックストアで投げ売りされていたから、という消極的な理由だったのだが、これも良かった。
どこまで本当なのか知らないが、体脂肪をエネルギーにしてくれている感じがする。
あまりお腹が減らない。
市街地に到着するまで、2本もっていったヴァームウォーターのうち1本が空になった。もう1本は開封したものの、まだたっぷり残っている。
ドラックストアで追加で1本購入。
驚くべき安さだ。ヴァームウォーターの扱いが悪くて泣けてくるが、大変ありがたいのでこれからも安く売ってください。。
近所のコンビニで、糖質とタンパク質を補給。
おにぎりとゆで卵とチーズ。ランの補給食としてどうなのかは不明だが、ロングランは好きなものを食べれば良いのだ。
食べることしか楽しみは無いのだから、好きなものを選ぼう。
ここから、当別ふくろう湖までは未踏のルート。
結論から言うと、最高のランコースであった。
歩道が無いので誰にでも勧められるといったものでは無いが、牧歌的で時間が緩やかに流れている空間を独り占めして走っている感覚。
これが、田舎ランの醍醐味である。
道を、景色を独り占めしている感覚。最高だ。
ただ、最高すぎてペースが上がってしまった。
気温もあがり、水分を補給するペースが増えてきている。
楽しく走りながらも、左右に目を配るが無い。
そうこうしているうちに、ダムが見えてきた。ダムには自動販売機があるかもしれ無い。ボトルのヴァームウォーターは急激に減ってきている。
ダムの横の急坂を登り、管理事務所に到着。しかし、自販機は無かった。ダムカードは配布しているらしいが、自販機は無い。。
ここから、20㎞近く山の中を走る。ボトルの残量を意識しはじめてから、途端に喉の渇きが激しくなってきた。まぁ、人間ってこんなもんだろう。。
湖畔沿いを走り、湖を横切る橋まで来た。
昔、ロードバイクをやっていた頃はこのエリアをよく走っていた。
まだダムは工事中で、人が住んでいた痕跡がありありと残っていたが、橋の上からはそれを微塵も感じさせない。
すべて水の中だ。
それが良いことか悪いことか、判断はつかないが、感慨深い。
それにしても、これだけ水があるのに僕には飲む水が無い。
ボトルはどんどん軽くなってくる。意識しないように意識しないように、美しい景色をみて気を紛らわすのだが、気がつくと思考は水のことを考えている。
やむ得ず、一口。含んで噛むようにしてゆっくり時間をかけて喉の奥に流し込む。
ああ、喉を鳴らして水を飲みたい。
そうこうしているうちに、湖を横切る橋は終わり、対岸に渡ることができた。
交通量は途端に減り、道路公団の黄色い車か裏道を抜けるのだろうか、トラックくらいしか走っていない。
ここで倒れても、なかなか気がついてもらえないだろう。
と思ったら、急にワクワクしてきた。
このワクワクしてくる感じが、ソロでこういうことをやっている目的なのだ。
冒険は常に単独行。
単独行だから面白いし、尊いのだ。
月形に抜ける峠道に入る。
ここに来て急激な上り坂だ。歩道もないので、トラックが横切る度にビクビクするが、トラックの運転手も怖いだろう。こんな道を走っている人間がいるなんて。。
ボトルはとっくに空っぽになった。
喉は渇きを通り越して、痛みすら感じる。
そろそろ危険な領域だなぁとボンヤリ考えていたら、峠を越えて月形の住宅地に入っていた。
目をあげると、『休憩所』の看板が。淡い希望を抱いてたどり着くと、水飲み場が!!
ぬるくてカルキ臭い水だったが、喉が喜んでいる。まさに甘露であった。
そこからは、あまり覚えていないがほどなくして、最終目的地であった月形温泉に到着。パンツが擦れて、股がミミズ腫れになっておりお湯に入るのに悶絶。
小さいが、気持ちの良い温泉であった。
月形からローカル線にのって帰札。
色々と調査不足もあってハードコアな旅ではあったが、単独行は脳が痺れるような快感がある。
集団、仲間でこれをやるとただのマラニックだが、単独行でやることによって冒険となり、それは死を生に抱き込むような尊いものとなる。
冒険は常に単独行。
まだまだ一人でやれることはある。
つるやたかゆき