ツルタカブログ

ファッション感覚でランしてる

札幌国際スキーマラソン2019

起床してびっくりした。まったくやる気ない。かったるくてしょうがない。昼まで寝ていたい。
とはいえ、ふたたび寝床に戻るわけにはいかない。今日は札幌国際スキーマラソンなのだ。

はっきりいってマイレージ不足だ。
滝野でのレースを想定した50㎞走は失敗して36㎞で逃げ出した。
滝野で50㎞滑れても、本番の50㎞の8割程度の難易度。それを36㎞で逃げ出しているんじゃ話にならない。
1月中、毎日、一日もかかさずに有酸素トレーニングをしてきたので身体の疲労が奥深いところにズシンと残っている。

一応、前日・前々日は休養と燃料の補給を徹底した。
板については義父にホットワクシングをしてもらった。雪温に合わせて2種類の板を用意した。

道具は完璧だが、臆病風に吹かれたこのマインドはどうにもシャッキリしない。困った。困った。

困ってばかりもいられないので、札幌ドームに向かう。
地下鉄の中はXCスキーヤーだらけだ。平均年齢高えー。
いいな、自分もあの年までXCスキーを楽しんでやれているだろうか。みんないい顔している。あんな年の取り方ができるだろうか。
そんなことを考えていたら少しずつモチベーションがあがってきたぞ。

ドームについて、着替えて用具の確認。
気温を見てみると、少し温度があがりそうだ。暖かい方に設定したフィッシャーの板を選ぶことにした。
昨年もこの板で完走している。モチベーションが少しあがっているとはいえ、こんなゲンを担ぎたくなるということはどこか弱っている証拠だろう。

ドームの入り口にあるワックスルームでフッ素スプレーをコーティング。
そんなに効き目があるわけでもないだろうが、精神安定剤的に塗布していく。うん、やっぱり弱っているな。
コーティングをぬりぬりしていたら、ウェーブスタート第一弾がスタートをきったとの場内アナウンスが流れた。
やばいやばい、あと10分後で自分のスタートじゃないか。ここからスタート地点まで1㎞以上ある。急がなくては。
やはり今日はどこか抜けているぞ。真剣味が足りていない。

スタート3分前にスタート地点に到着。いつもスタート地点の写真を撮るのだが、そんな暇もなかった。
まったく何やってんだが。
そんな中、静かにスタートが切られる。なんの感慨もわかない。ただ機械的にガーミンの計測を開始して滑り始める。

スタートからは4㎞地点まではひたすら登りだ。
ガシガシ上っていくが、前が詰まる。レーンを変えて抜き去るが、すぐに前が詰まる。
え、あたしのワックス、マッチしすぎ??

雪質とワックスが悪魔的なほどマッチしている。ちょっとした登りでも力を入れずにクリアできる。
おいおい、最高かよ。登りではだれにも負けない。抜かすことはあっても抜かれないぞ。
ゲンキンなもので、こういう風に自分に有利なシチュエーションになると途端にテンションが上がる。
我ながら薄っぺらくてイヤになっちゃうが、しょうがない。個性だ、個性。

9㎞地点からの急な登りも、19㎞地点の登りも、軽々とはいかないがあっさりとクリア。
ここまで下りで差されることはあっても、登りでは誰にも抜かされていない。
ところどころ雪面に土が混じっているところもあるが、この程度じゃ今日の俺は止められないぜ!ヘイヘイ!!

と、調子にのれたのもここまでくらいだった。
白旗山に入る手前、24㎞~26㎞あたりで急速に力が萎んでいく。
板の調子は好調だが、肝心の蹴る力が湧いてこない。マイレージ不足がここで出た。
登りでも数人にかわされる。ガッデム!悔しいぜ。

32㎞の白幡山で、トイレ休憩。
背中に隠し持っていた『一本満足バー』で糖質を入れて、板を左右入れ替える。
補給はいつまでたっても課題だ。今回はアミノ酸については10㎞毎に摂取していたが、糖質は32㎞地点まで摂取無し。
24㎞地点でへばったのは、血中グリコーゲンの貯金が尽きたのも要因の一つにありそうだ。

白旗山エイドを超えてからは我慢のスキー。
経験上、もう一回くらいは調子が上がるところがあるはずだ。それが「降りて」くるまでひたすら我慢だ。
我慢して滑っていれば、その瞬間(とき)が必ずくるはずだ。

日の当たらないコースを滑っていく。微妙な登りが続くポイントだ。
登ってもすぐに落とされて、また登り。大粒の汗が額を伝わる。目に入って痛いのなんの。
機械的に身体を動かしていくと、ついにその瞬間(とき)が来た。

科学的に考えると、先ほど摂取した『一本満足バー』が血液中に取り込まれたんだろう。
序盤の無敵感が戻ってきた。スイスイいける。

実は札幌国際スキーマラソン 50㎞の部は43㎞までの勝負である。
43㎞地点からゴールまでは、オール下り。43㎞地点の激坂を超えることができれば、あとはボーナスステージなのだ。

勢いよく43㎞地点までクリア。
同じタイミングで坂を攻略していた外国人カップル(超絶美男美女。しかもクラシカルで滑っている!)が坂の上で
『グッジョブ』とウィンクしながらサムアップしてくれた。
『グッジョブ』良い言葉だねえ。しみわたるわ。
さーて仲良く国際親善でもしながら残り7㎞を滑りましょうか、と思ったらものすごい勢いで下って行った。クラシカルであんだけ速いってどういうことだ。すげえ。。。
グッジョブ・・・

置いてかれてしまったが、のこり7㎞の下りを堪能。
最後の展望台セクションはいつ滑っても感動的だ。見渡す限り、真っ白な大地をスキーで滑っていく。
こういうことがやりたかった。大自然の中でひとりスキーを滑らせる。詩的でいいじゃないか。

結局、昨年より15分近くタイムを更新してゴール。サブ5達成だ。
なかなかやるじゃないか、自分。
えらいぞ、自分。

先に滑りおえていた義父がゴールでお出迎えしてくれる。なんとまあ、自分より30分以上も早くにゴールしていたらしい。
70歳でこれだよ。やっぱりXCスキーはおもしれえなー。
自分も70までやれるかな!人生はまだまだ楽しいことがいっぱいありそうだ。

 

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つるやたかゆき