ツルタカブログ

ファッション感覚でランしてる

オシャレランニングファクトリー さっぽろ湖&オタルナイ湖 60km

1000湖ラリー 第二弾は札幌の奥座敷である定山渓から道道1号線を使って朝里までいくコース。

途中で、さっぽろ湖とオタルナイ湖の2つのダム湖をゲットできるコースだ。

 

定山渓までは、ロードバイクをやっていた頃に何度か行っているので、なんとなくコースのイメージは沸くものの、道道1号線は完全に未知の領域。

 

どんな結末になるか全く予想はつかないものの、命までとられることは無いであろうと軽く考えて出撃。

もちろん単独行だ。

冒険は単独行でなくちゃならない。

これを複数名でやったら、ただのマラニック的なイベントとなってしまう。

ランを冒険にするのは、単独であること。ただそれだけだ。

 

6時半出発。

豊平川河川敷を上流に向けて走る。藻岩のイオンまでは豊平川河川敷コースの方が効率が良い。信号待ちは疲れる。

石山通り合流した瞬間から登り基調になる。そりゃそうだ。俺はこれから定山渓に行くんだぞ。

 

連休の石山通りは大混雑で大渋滞だった。

ランチアデルタもポルシェボクスターよりも、速いのはランをしている私だ。

すいすいと渋滞を尻目に石山通りを駆け上がっていく。

 

実はここ一ヶ月ほど、左脚はシンスプリントの兆候がでており長距離走はもとより日々のランも自粛していた。

ロキソニンテープを四六時中貼り、寝ているときも氷嚢をあててアイシングを行ってなんとか治療して、この企画に間に合わせた。

この道中、再発してもおかしくはない。

だが、いまこうやってスイスイと走ることができることは素直に嬉しい。

感動的ですらある。自分の脚でどこまでも行けるってのは自由だ。

 

3時間で定山渓到着。

定山渓のローソンで最初で最期の補給を実施する。

ここからゴールまではコンビニはもちろん、自動販売機も無さそうだ。

 

ラン用リュックに差し込んである2本のペットボトルを入れ替える。

エンデュランス系にはお馴染みのポカリのエナジードリンク割だ。

レッドブルよりモンスターがお好み。量も多いので俺は断然モンスター派だ。F1ではモンスター(メルセデス)よりはレッドブルの方が好きだけど。

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いよいよ道道1号線突入。

いきなり登る。つづれおりの向こう側は見えないが、おそらく登りだろう。

消耗はしたくないので、歩けるところは歩くことにするが、このままだと最期まで歩いて終わりそうな予感もする。。。

いかん、いかん。脚をとめるな。無理にでも走れ。幸い脚の痛みは無い。自分を停めてしまっているのは気持ちだけだ。気持ちだけならどうにかなる。

脚をひたすら動かし続けてると、トンネルが現れた。

事前に地図をチェックしているときから、このルートのトンネルの多さには気がついていた。トンネルはプレッシャーになる。狭いし暗いし怖い。音の反響や、天井から落ちてくる水滴にいちいちビビることは必須だ。嫌だ嫌だ。

 

だが、覚悟を決めて突入をしていくと、自分の足音と息づかいのみが響くトンネルの中はそれはそれで心地が良い。

冷たい空気も、頭の中がシャンとなって悪く無い。トンネルは良いリフレッシュポイントになることが分かったのは今回の大きな収穫だ。

 

そうこうしているうちに、最初の目的地であるさっぽろ湖到着。

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特に何か感慨があるわけでは無いが、ダムという圧倒的な人工物はいつ見ても素晴らしい。ダムは静止しているのに巨大なパワーを感じる。

ダムを見るたびに力が漲ってくる。わかるかなーこの感覚。

 

さっぽろ湖を左手に見ながら、冒険は続く。

追い越していく車のドライバーが不思議そうな顔をしている。

そりゃそうだ、こんなところを走っている人間なんて珍しかろう。一方、ロードバイクのお兄ちゃんがたは追い抜くとき、すれ違うとき、それぞれにサムアップをしてくれる。

たかだが親指をあげる行為、ただそれだけでどれだけ勇気を貰えるか。

これは体験した人では無いとわからないだろう。

 

勇気は貰えるが、上り坂が終わるわけではない。

はるか遠くにつながる道を見ると、どこまでも登っている。本当に完走できるのかと不安になるが、冷静に考えると定山渓に戻るにも苦労するポイントまできてしまったのだ。戻るも地獄、それならば前に進むしか無い。

 

気がつくと後ろから、キツネがついてくる。 

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 心無いドライバーが餌をあげたのだろう、平気で車道を走り、車に人懐っこい笑顔を振りまいている。

なんだかなあと複雑な感情に支配されそうになるが、今の俺はキツネと現代社会の歪な構造に想いを寄せている場合では無いのだ。自分のことだけ考えていればいいのだ。

無の境地になりながら、国際スキー場前を突破、そして朝里峠頂上に到達。ここが今回のコースの最高地点だ。

 

あとは一気に下るだけだが、そこでハタと気がついた。

下る方が100倍ツラい。。。。

ここからは地獄の第二幕。とぼとぼとスピードをださずに下っていく。1km毎にストレッチ。

車がとまる。年配の夫婦が心配そうに見ている。

『おにいちゃん、どうした??』

どうしたんだろう。俺は。何をしているんだろう。。一瞬、考えてしまう。

引き攣った笑顔で答える。

『走っているんすよ!』

そりゃ、見りゃわかる。ご夫婦の期待している答えでは無いだろう。

でも、それでも答えるしかない。『走っているんすよ!』

俺のやっていることはそれだけだ。。

 

オタルナイ湖をすぎて、愛用のガーミンの電池が切れた。

もはや俺のガーミンはカタログスペック通りの性能を発揮できないようだ。普段、こういう記録がちゃんと残らないことは大嫌いで、ブチキレるのだが不思議と冷静に真っ暗になったガーミンを見ていた。

ゴールに設定した温泉まであと2km。

ものすごく長く感じるが、その2kmはこの冒険で一番冷静で静かな2kmだった。

 

結局、60kmは無事完走できた。

脚の痛みも殆どなく、また後遺症も筋肉痛くらいなもので、懸念していたシンスプリントの再発はなかった。本当によかった。

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自然の中(舗装された道路とは言え)で一人ぽっちで走る。

万が一の場合は、どうしようもない。そんな環境に定期的に身を投じると、感覚が磨かれるのがわかる。

それが実際、なんの役に立つかはわからん。

だけど、どうせ生きているのだからこういう経験も悪くは無い。

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つるやたかゆき