ツルタカブログ

ファッション感覚でランしてる

F1 2016 モナコGP観戦記

実際のところ、ロケーションを無視して見てみるとモナコGPというのは非常につまらないGPである。
狭く、抜けないレイアウトで予選でいかに前にでるかが鍵となるサーキットであり、あとはタクティクスを駆使して
ピットストップで前にでるタイミングを計るしかない。
その代り、風光明媚でラクジュアリ―な景観と、市街地戦という特殊なシチュエーションが僕等を盛り上げてくれるのだ。

スペインGPではランキングトップを独走するメルセデスで、禁断のチームメイト同士のダブルクラッシュが発生し
残されたレッドブルフェラーリが白熱の戦いを展開し、最後は移籍初戦のヴェースタッペンが最年少で初優勝を飾るという
ドラマチックな展開となった。
そしてそのバックグラウンドで、2つの流れが変わっていた。

一つは、開幕から絶好調だったニコの流れ、二つ目は王者への「挑戦権」の移動である。

ニコはスペインのあの事件で、もっていた流れがとまった。
ハミルトンに流れを持ってかれたとまでは言うつもりは無いが、ニコ自身のもつ流れは停滞している。
フリー走行からイマイチ決まらず、ドライビングが鈍っていた。
対するハミルトンは、予選こそニコに遅れをとるが、トラブルを抱えながらの走りで決して悪い内容ではなかった。
失うモノが無い強みが、あのスペインの事故で彼が唯一得た武器である。

そして、「挑戦権」の移動は如実に現れた。
ハイダウンフォースサーキットでロウパワーでもどうにかなるレイアウトであったが、跳ね馬はレッドブルに完敗。
PUのスペック差ではまだフェラーリに分があるとは思うが、空力性能ではレッドブルにおいていかれてしまった。
なにより、コーナーとコーナーの繋ぎの区間での中間加速が必要なポイントでピックアップが悪い。
メカニカルグリップは比較的高いマシンかと思っていたが、ライバルの性能向上の前に相対的に低下しているのか。

レースは、レッドブルのリカルドのペースであった。
ウェットからドライに徐々に変化していく難しいコンデションであったがリカルドは冷静に後続とのギャップを計算して
冷静に作戦を遂行していく。
ルノーのPUがもつハンデを感じさせない。いや、ルノーのPUもなかなか侮れないレベルで性能向上を果たしたのか。。

追うメルセデスは、明らかにペースが速いハミルトンがニコに引っかかるというマズイ状態。
リカルドに簡単にギャップを作らせてしまった。
これは、レッドブル2連勝があるかなーという思いなっていたところで、あのミスが発生。

これは本当にお粗末。
タイアが無い状況でなぜピットインの指示をだしたのか。
スペインに続いてリカルドはチームの不自然な戦略ミスによって、勝利を逃した。
考えたくないが、ある種の政治力がチーム内を支配しているのではないか。
まるで、マークウェバーに対するあの頃のように。

望外の状態でトップに躍り出たハミルトンが、そのままポジションをキープして今季初優勝。
力づくで奪ったわけでは無く、ラックが多分に影響している勝利だが、今のハミルトンにとっては勝ち方よりも
勝ったという事実が最も重要なカンフル剤なのではないだろうか。

3位は伏兵、ペレス。
緻密な戦略を丁寧に、丁寧に実行してのポディウムゲット。
ペレス、良いドライバーになってきている。
フォースインディアはこういうジャイアントキリングをシーズンのここぞというところで行う。
この冒険心というか、思い切りの良さは魅力的だ。

そういう意味では、まったくペースをつかめていなかったマクラーレンがいつまでも横綱相撲的なレース運びをするのは
本当に気に食わない。
PU性能が重視されないサーキットでペレスにラップあたり1秒を離される状態。
これから続く高速系サーキットでは苦戦が予想される。

ハースはまたもや、失速。
魔法は完全にとけてしまった。
カナダでシンプルなレース運びで上を狙ってほしい。

最後に、中継について。
もういい加減に、モナコの思い出で1986年と1992年のセナのエピソードを話すのやめなさいよ。
陳腐すぎで、一種の様式美になっている。
パニスの無限初勝利とか、まだまだあるでしょ。
まあ、あの時代に魂を囚われている層しか中継見てないからしょうがないか。
いよいよジリ貧なF1中継を見せられた気がするGPであった。

つるやたかゆき