名盤まったなし 002 WAGON CHRIST 『TALLY HO!』
エイフェックスツイン、スクエアプッシャーに次ぐ『第三の男』それがWAGON CHRISTこと、ルーク・ヴァイパートだ。
この『TALLY HO!』 というアルバムは98年リリース。そろそろ20年前になってしまう。僕の家のレコード棚はこんなんばっかりだな。
最初に買ったのは、もうなくなってしまったパルス21という地元のレコ屋で購入。
本当にセンスの良いレコード屋だった。色々なことを教わったレコード屋だった。
パルス21のことは今度また改めて書こうっと。
実家におきっぱなしのレコード、CDは衣装ケース7箱分。そこにコイツも入っているのだろう。
聞きたくなったので、年末に帰省したときに救出しようと試みたがあえなく失敗。
Amazonのマケプレでタダ同然で売られていたので速攻注文した。
久しぶり、多分7年ぶりくらいに聞いてみたが良い。
音の解像度はかなり悪いのは、録音された年代というよりは録音環境のせいだろう。
サンプリングと安物の音源だけで宅録したような音だ。
だが、想像以上に音に奥行きがあって、柔らかい。
これは機材とか予算じゃなくてセンスが良いんだろうな。
エイフェックスツインとかスクエアプッシャーにも通じる、DIYの心意気が伝わって来る。
一応、ジャンルとしてはダンスミュージックの棚に置かれるとは思うが、身体はまったく踊らない。
テンポが圧倒的に遅いし(アベレージでBPMは110ないんじゃないかな)、全体的にファニーな音使いはフロアユースというより、ベットサイドミュージックだ。
だからといって、人畜無害なアンビエントアルバムというとそうでもない。
もっと邪悪な匂いがする。アシッドを食べたウォルトディズニーといった感じ。
だから身体は踊らないんだけど、心は踊る。
自分ではアシッドをキメてディズニーランドにいく勇気はないけれど、これを聞けばそれと同じ体験を脳内ですることができる。
照れ隠しで露悪化するエイフェックスツインより、こっちのほうが遥かに危険だ。
無邪気に殺しにくる危険な一枚だ。
つるやたかゆき